プロンプト詳細

投稿日:2023-05-20 13:10:46
タイトル
今夜は、もう遅いから
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作者
説明
この作品「今夜は、もう遅いから」は著作権フリーでどなたでもご利用して頂けます
転載・改変可否
許可
(許可条件はクリエイティブコモンズ 表示-継承 4.0を参照してください)
プロンプト(本文)
あの日を忘れたことなどない。
裏切られ、騙され、世界を憎み、自分が自分ではなくなった日。
身も心もボロボロになって、手当たり次第に当たり散らして。
それでもやっと復職して、気が付けば40目前になっていた。
あれから俺は脇目もふらずに必死で生きてきた。発達障害と診断され、潰瘍性大腸炎と診断され、リハビリや就労支援の力を借りて何とか就職して、障害年金や遺族年金のおかげでやっと暮らせている有様だ。
今の流行りも分からないし、10年以上遊びに行ってない。それでも、記者と言う仕事は嫌いではないし、天職だと思っているから、それで問題ないのだ。
「勝利の秘訣は何でしょうか!?」
「やはり、皆さんからの熱い応援です!みんな、いつもありがとう!」
+++
「ふぅ・・・」
熱気冷めやらぬ球場を後にし、俺達は呼吸を整えた。
「そっちはどうだ?」
「ええ、問題ありません」
俺の相棒でありカメラマンの藤井は、撮った写真を確認しながら俺に報告した。彼女は定型で、障害者採用の俺を疎んでいる。だから本当に最低限の事務的会話しかしないし、仕事が終われば飛び出すように俺の前からいなくなる。まぁ、そんな事は彼女に限ったことではないし、仕事はこなせるのだから文句はない。
会社に戻ると、部長が待ち構えていた。
「おう、おつかれさん。いいネタ掴めたか?」
「今年は西星が当たりですね。いい奴揃ってますよ」
「ふむ、源田監督が復帰してからチーム力が上がったって噂だしな。よし、早速記事にするぞ。お前ら今日は残業だ」
「では、私はこれで」
藤井は荷物をまとめてさっさと退社してしまう。カメラマンは写真を撮ればそれで終わりだ。だが記者はそうはいかない。翌日の朝刊に間に合わなければ、なんの価値もないからだ。
「では、俺も帰らせて頂きます」
「えっ!?ちょ、おい!残業だって言っただろ!」
「俺は残業はしませんので」
ニッコリと笑って会社を後にする。
慌てて電車に乗って、時間を確認すれば16時半だった。
(スーパーに寄って、ニンジンと大根を買おう。今日は寒いからおでんにするか)
最寄駅に着いた頃には17時を過ぎていた。
まだ明るい空の下をゆっくりと歩いていく。この辺りは住宅街なので人通りは少ない。街灯には小さな羽虫が集まっている。
目的のスーパーが見えてくると、その前で何やらもめ事が起きていた。
「だからさー、あんまりしつこいと警察呼ぶよ?俺も暇じゃないんだよね」
「そう言わずに。あなたが神部秘書官ですよね?話だけでも聞かせて下さい」
スーツ姿の男女が何やら揉めているようだ。女性の方が声をかけているのは、背の高い細身の男で、どこかで見たことがあるような顔立ちをしている。
「横領事件の際、あなたは現場にいたんですよね?何か不審なものを見ませんでしたか?」
「見てないって言ってるじゃん。もう行ってもいいかな。忙しいんだけど」
男は迷惑そうな顔をしていた。
「待ってください、あなたは…」
「ああもう、うるせえな!」
「きゃっ!?」
男が女の手を乱暴に振り払ったせいで女は尻餅をつく。それを見ていた周囲の人間は見て見ぬふりをして足早に立ち去っていった。
「あ~、痛ぇ……これ折れてるかも。慰謝料請求してやろうかな」
「っ、ふざけないでください!慰謝料なんて、そんな・・・」
「じゃあさ、あんたが代わりに払ってくれんの?」
「それは・・・」
「ほら、できないでしょ?なら帰ってくんない?邪魔だよ」
男は面倒くさそうに頭をかいてからその場を離れていった。
「うぅ・・・ぐす・・・」
女性は座り込んだまま泣き出してしまった。
「あのぉ、大丈夫ですか?」
放ってもおけずに声をかけると、彼女は涙に濡れた瞳を上げた。
その見覚えのある顔に、俺の心が一気に沸き立つ。
「――小俣・・・さん?」
「・・・小森君」
+++
その翌日、俺はいつものように慌ただしい社員食堂でランチを注文し、トレイを持って空席を探しているところだった。すると、隅っこの席にぽつんと座っている彼女の姿を見つける。
彼女は昔と変わらず凛としていて、近寄り難い雰囲気をまとっていた。
年齢とともに色香を増していく彼女から目を離せずにいると、不意に彼女と目が合う。
「・・・また、会ったね」
「・・・うん」
俺は言葉少なげに返事をした。
「・・・ここ、いい?」
「・・・どうぞ」
俺は隣の椅子を引いて腰掛けた。
「・・・ねぇ、どうしてこんな所にいるの?」
「それはこっちの台詞だよ。いつからこの会社に?確か外資系の銀行にいたんじゃなかったっけ?」
「・・・いろいろあって辞めたの」
「・・・そっか」
「・・・」
「・・・」
沈黙が流れる。俺は気まずさを誤魔化そうと、おかずを口に運んだ。
彼女は覚えているだろうか?俺が告白したことと―ーそのあと口汚く罵ったことを。
あの告白に、他意はなかった。先に就職し、順調に道を歩んでいた彼女に対して抱いていた劣等感。それが嫉妬心となって爆発したのだ。
子供じみた感情だと今ならわかる。でも、当時の俺は余裕がなかった。
だから、あんな酷い言葉を吐いた。
「俺が発達障害なら、お前だって発達障害だ!」
―ー彼女と話したのは、それが最後だった。
「・・・・優香とは、まだ連絡取ってるのか?」
「取ってない。私、誰とも取ってないの」
「そうなのか?てっきり仲良かったと思ってたよ」
俺がそう言うと、彼女は自嘲気味に笑う。
なんだか、疲れているようだった。
俺は思わず「大丈夫?」と問いかける。何が、とも分からぬその問いに、彼女はきょとんとしてこちらを見た後、「平気だよ」と微笑んだ。
(やっぱり美人になったなぁ)
つい、まじまじと見つめてしまう。視線に気づいているだろうに、彼女は嫌がりもせず、ただ笑みを浮かべていた。
「小森君は?」
「え?」
「元気にしてた?」
「・・・まあ、なんとかね」
「そう」
彼女はそれだけ聞くと、食事を再開した。
結局その日に会話したのは、それだけだった。
+++
もうすぐテニスのオープントーナメントの季節である。しかも、今年は日本で開催されるため、世界中から腕自慢が集まってくるそうだ。
会場近くのホテルでは連日のようにパーティーが開かれ、プロ選手やスポンサー企業関係者などが集っていた。
今日はとある企業のパーティに参加させられたのだが、酔いが回ってトイレに逃げ込んでいた。
「は~、なんでこういう場って酒飲みばっかり集まるんだろ?もっと他に楽しいことあるでしょ~」
酒を戻していると、愚痴をこぼしながら誰かが入ってくる気配を感じた。
個室の中なので顔まではわからないものの、明らかに女性の声だったので俺は少し動揺する。
(やべ、ここ女子トイレだった?)
しかし、入ってきた人物は一向に出て行こうとしないので、不思議に思って声をかけてみることに。
「えっと、すみません」
「きゃっ!?え、え?ここ女子トイレですけど!?」
「あ、ごめんなさい。間違えました」
そう言って扉を開けると、そこに立っていたのはあのテニスプレイヤーの山崎亜実だった。
三年連続世界ランキング一位の実力者で、日本人初の四大大会完全制覇を成し遂げた人物。
何度かインタビューしたことはあるが、俺の事なんかいちいち覚えてはいないだろう。不審人物は退散するに限る。そう思ってそそくさとその場を離れようとすると、彼女が呼び止めてきた。
「あ、あの!ま、待って、小森さんっ!」
彼女が俺の腕を掴むと、体幹がゴミのうえ酔って足元のおぼつかない俺は、そのまま倒れ込んでしまった。
「いてて・・・」
「す、すみません!大丈夫ですか?」
「はい、何とか。ありがとうございます。あの、ちょっとどいてもらえますか?」
彼女は俺を心配そうな目で見下ろしている。
「顔、真っ青ですよ。どこか休めそうな場所に行きましょう」
「いやいやいや、天下の山崎さんに、そんな事をさせる訳には・・・」
そう言ったものの、足に力が入らない。
畜生、こんな時間まで長居するんじゃなかった。ノー残業が俺のモットーなのに。
俺が動けないと分かると、彼女は無言のまま立ち上がって手を掴んできた。
さすがスポーツ選手である。女性とは言えその筋力は計り知れない。俺はあっという間に引っ張られていった。
連れていかれた先は、ホテルのバーラウンジ。
「水、飲めますか?」
「ああ、うん」
差し出されたコップを受け取ると、一気にあおった。冷たい水が胃に染み渡る感覚が心地よい。
ふうと息をつくと、隣に座る彼女に「ありがとう」とお礼を言う。
「いえ」
彼女は短く返事をする。
さらさらと揺れる黒髪が、バーのライトに反射して美しく光っている。
健康的な褐色の肌は、うっとりするほど艶があり滑らかだ。
胸元の開いたドレスからは豊満な谷間が見えていて、普段の溌剌としたイメージとはまるで違う色気を放っていた。
(この人、こんな美人だったかなぁ)
俺は酔った頭でぼんやりと思う。
「どうかしましたか?」
「え?ああ、なんでもないよ」
普段ならもう布団に入っている時間だ。俺は眠気と戦いながら、必死に意識を保つ努力をしていた。
手に取ったグラスを一気に飲み干す。アルコール度数の高い酒が喉を通り抜け、脳髄を痺れさせた。
(なんだこれ、くらくらする)
視界が歪み、自分の身体が自分のもので無いような錯覚を覚える。
ふと気づくと、俺は彼女にお持ち帰りされてしまっていた。
+++
ふわりと香る花のような香り。柔らかくて温かい何かが頬に触れている気がした。
「ん・・・」
(気持ちいい)
微睡みの中で、その温もりにしがみつく。
すると、彼女はくすりと笑う声と共に頭を撫でられた。
「まだ寝ていても大丈夫ですよ」
優しい声音に誘われるように、再び眠りに落ちていく。
次に目が覚めた時、俺は柔らかいベッドの上で横になっていた。
そして、何故か全裸になっている自分に気づいて呆然とする。
「・・・・!? !?!?!?!?」
慌てて起き上がると、頭がズキっと痛む。どうやら二日酔いらしい。ここはどこだと辺りを見回せば、そこは見慣れた俺の部屋ではなかった。
大きな窓からは明るい光が差し込み、部屋の中を照らし出している。
天蓋付きの豪華なベッドと調度品。壁一面がガラス張りになっていて、東京の街を一望できる絶景が広がっていた。
(えええっと・・・? 昨日の事思い出せないぞ?)
記憶を呼び起こそうと試みるも、断片的なものしか出てこない。
(確か、テニス選手のパーティーに行かされて・・・そうだ!山崎さんに介抱されたんだ! それで、ホテルに連れてこられて・・・?ここ何処だよ!)
混乱して目を白黒させていると、部屋の扉が開いて山崎さんが入ってきた。
「あ、小森さんおはようございます。よく眠れましたか?」
「あ、はい。あの、俺、すみません、ご迷惑掛けちゃったみたいで」
慌てて前を隠しながら謝ると、彼女は首を振って「気にしないでください」と言った。
「それより、シャワー浴びてきてください。今、バスタオルと着替えを用意しますから」
「あ、ありがとうございます」
俺は促されるがまま、風呂場へと向かう。
ユニットバスは広々としていて、何だか落ち着かない気分になる。
「えっと、服はここに置いときますね」
「ああ、うん」
「ゆっくりしてください」
そう言うと、山崎は部屋から出て行った。俺は恐る恐る洗面台に近づいて鏡を見る。
そこには、やつれた顔の男が映っていた。
「げっ・・・」
思わず声が出てしまう。
仕事柄、不摂生になりがちな俺だが、ここまで酷い顔をしているのは初めて見た。
髪の毛はボサボサだし、無精髭も生えている。
目の下の隈は深く刻まれており、眉間には深いシワが寄っていて、いつもより老けて見える。
「うわぁ・・・」
(一夜の過ちとかそーゆーのではないな、うん)
俺は情けない声で呟くと、急いで蛇口を捻った。熱い湯が全身に降り注ぎ、汗とともに疲れが流れ出していくようだ。
しばらくそうやって浴槽に浸かっていると、少しだけ思考がクリアになった気がした。
「よし!」
俺は勢い良く立ち上がると、気合を入れて浴室から出た。
+++ 
用意された服を着て脱衣所を出ると、ソファに座っていた彼女がパッとこちらを見た。
「ああ、ちょうど良かった。これ飲んで下さい」
差し出されたのはスポーツドリンクだ。ありがたく受け取り一気に飲む。
渇き切った喉に水分が落ちていき、生き返った心地だ。
「ありがとうございます」
「いえ、それじゃあ行きましょうか」
「行く?」
「はい」
彼女は微笑むと、俺の手を取った。
その手つきに胸がどきりとする。
ここまで介抱していただいた手前、何でも言う事を聞くつもりではあるが、四十路のおっさんと手を繋いで歩くというのは如何なものだろうか。
俺は気恥ずかしくて、さっきまでとは違う意味でドキドキしてしまう。
「どうかしました?」
「え?ああ、いや、手繋ぐ必要あります?そもそも、こんな所誰かに見られたら・・・」
俺が用心深く辺りを見回しながらそう告げると、彼女はクスリと笑った。
「心配ありませんよ。ここは私の家ですし、ここには私達以外誰もいないんです」
「へぇ、そうなんで―――」
その瞬間、ぐいっと強く引っ張られ、彼女の胸に倒れ込む。
甘い香りに包まれ、柔らかい感触に押しつぶされそうになった。
「ちょっ・・・!?」
「小森さん、好きです」
「は・・・ええ!?」
「初めて会った時からずっと好きだったんですよ?」
俺の顔を覗き込んでくる山崎さんの目は真剣そのもので、冗談を言っているようには見えない。
「え・・・あの、じゃあえっと、昨夜は、もしかして、その・・・」
「ええ、体の相性は・・・最高でした・・・♡」
彼女は自分の下腹に手を添えると、悩ましげに吐息を漏らした。
そのあまりに官能的な姿に頭がくらりとするが、どうにか踏み止まる。
彼女にがっちりとホールドされたまま、俺は必死に頭を働かせた。
「そもそも君は俺の事を何も知らないし・・・」
「大丈夫、どんなあなたでも受け入れます♡」
「それに、もうすぐオープン戦が・・・」
「試合には影響のないようにします。それとも・・・私の事嫌いですか?」
耳元で囁かれながらみぞおちを指でなぞられ、思わず変な声が出る。
嫌いな訳がない。世界的テニスプレイヤーで、そのうえこんなに美しい女性に好かれて嫌がる男がいるはずもない。
「す、好き・・・だけど」
「じゃあ、結婚しましょうよ」
「えっ!?そ、それはまだ早いって言うか、昨夜の事はおれが覚えてないですし」
「じゃあ、やり直します?私はかまいませんよ」
耳を甘噛みされながら誘惑される。時計を見ればもう午前八時を回っていた。
「お、俺、もう行かないと!昨夜のお礼はまた改めて連絡いたしますので!」
俺は山崎の腕を振り払うと、逃げるようにして玄関を出た。
+++
オフィスに辿り着くと、すでに何人かの新聞部員が出勤していた。
「はぁ、散々な目に遭った。まさか、あんな若い子に・・・」
「若い子が何ですか?」
独り言のつもりだったのだが、隣のデスクから声が返ってきた。
そちらを見ると、そこにはスーツ姿の藤井がいた。
俺の服装を一瞥すると、「ふーん」と言って鞄を置く。
「昨夜はどこかに泊まり込んだんですか?」
「そ、そうそう。ちょっと飲み過ぎちゃってね」
俺は愛想笑いを浮かべると、パソコンを立ち上げた。
「小森さんでもそんな事、あるんですね」
「藤井さんはなさそうだね」
「セクハラはやめて下さい」
「えっ、あっ、ごめん・・・」
どうにも調子が狂う。
彼女は昔から俺に対して当たりが強いのだ。
「おい小森、今日は動物記事の方に回れるか?」
「動物記事?」
「ああ、なんでも動物園で飼育員が襲われたらしくてな。メンバーが全員そっちに出払ってて、川下水族館のアポに向かえるヤツがいないんだよ。お前魚好きだろ?」
「好きだからってそんな、いきなり」
「内容は好きに考えていいから」
部長に肩を叩かれ、俺と藤井さんは渋々水族館に向かった。
+++
途中、カメラが壊れて急遽フィルムカメラで撮り直すなどのトラブルはあったが、無事に取材は終了した。もうすっかり日が暮れていたが、写真が現像されるのを待つ間、浜辺で海を眺めることにした。
冬の初めということもあって、浜辺には俺と藤井さんの二人きりだった。寄せては返す波の音に、エメラルドブルーのコントラストがよく似合う。
俺達はしばし時間を忘れて魅入ってしまったが、不意に彼女がぽつりとつぶやく。
「・・・なんだか、デートみたいですね」
俺は驚いて彼女を見る。普段冗談を言わないだけ、奇妙に思ったが、こちらも冗談めかして返す。
「じゃあ、キスでもする?」
「えっ!?」
「なんて、冗談だよ」
「・・・先輩、趣味が悪いです」
彼女がするりと腕を持ち上げ、俺の唇をそっと撫でる。
俺は驚いて後ずさるが、無理矢理口の中に指をねじ込んできた。
「・・・!?ふじいしゃ・・・」
「噛まないでくださいね?」
彼女の指が、口の中の敏感な部分に触れる。俺は体をビクつかせてそれに耐える。
彼女のテクは俺の股間をあっという間に起き上がらせるほどで、舌の裏や歯茎をなぞられる度に快感が走る。
「ふじっ・・・しゃ・・・これ以上はほんとり・・・」
「口だけでイッちゃいそうですか?」
彼女の行動は毎度意味不明だが、こんなことをされて大人しくしてはいられない。俺は強引に彼女を引き剥がすと、今度は俺の方から深いキスをした。
彼女は最初こそ拒んだが、無理矢理口をこじ開けて逃げる舌をからめ取る。次第に唾液を交換し合うような激しいものに変わり、時間も忘れて快楽を貪り合った。
「小森さんっ・・・もうダメ、我慢できない・・・来て」
俺達は車に戻ると、そのまま倒れ込むように抱き合い、体を重ねた。
互いの服を脱がし、乳首が擦れ、汗が混ざる。
下半身では熱く硬い肉棒が、トロけた秘裂に吸い込まれていく。
熱い吐息とともに、互いに腰を振るスピードが上がると、やがて絶頂を迎えた。
俺の腹の上に温かいものが飛び散り、同時に膣内がぎゅっと収縮した。
彼女は俺の首筋に顔を埋めると、耳元で囁いた。
「ずっと、こうしたかった。先輩・・・好きです、ずっと前から」
メイクもぐちゃぐちゃになって、髪も乱れている。
しかしそれがかえって色っぽく、俺はドキリとした。
「藤井さん・・・昼間とずいぶん・・・違うんだね」
「小森さんだって、こんなに男らしいだなんて知りませんでしたよ。・・・あーあ、高いスーツなのに」
彼女は自分の服に付いた俺の精液を見てため息をつく。
乱れ切った服に、ドロドロの液体がべたべたと張り付き、ひどい有様である。
「こんなに射精しちゃうなんて・・・本当にやらしい人」
そう言って彼女は俺を嘲笑う。その妖艶な笑みに、俺のアソコはふたたび疼きだす。
「藤井さん、俺もあなたが好きだ・・・でも、返事はちょっと待ってほしい」
「・・・どうしてですか?」
「その・・・今ちょっと、困ったことになっていて・・・え、選べないんだ・・・」
「・・・分かりました。じゃあ、せめて今夜だけでも私と過ごしてくれませんか?」
「・・・うん、わかった」
それから俺達はホテルで一晩を共に過ごした。
+++
モテる男を羨ましいとよく思ったが、よくよく考えると胃の痛む話だ。
まさか自分が二人の女性から好かれるという想定をしていなかったので、今後どうしたら良いのかさっぱり分からない。
どちらかを断れば、どちらかが傷つく―ーと考えるのは、自意識過剰なのだろうか。
しかし、どっちつかずの態度を取るのもあまり良いことではないはずだ。
(こんな事、誰に相談すれば良いんだ・・・!)
俺は悩んだ末に、一人の友人に電話をかけることにした。
+++
「で?結局どっちか決めたの?」
「いや・・・普通に考えれば地位も富も山崎さんのほうが上だが・・・おれは山崎さんのことを何も知らない。藤井さんとはもう十年近い付き合いだし、だいたいのことは分かってるつもりだけど・・・ディズニーが好きとか、そういうことは・・・」
「う~ん。情報不足だねぇ。お試しに、両方と付き合ってみたら?」
「そ、そんなこと出来ないよ。オレにそんな器用な真似できると思う?」
「ふふふ、小森くんらしいね」
そう言うと優香はくすりと笑う。
優香とは幼馴染でありカフェ友達で、こうして休日に町の喫茶店を巡るのが習慣だった。
学生時代、小俣恵美を紹介してくれた張本人であり、彼女と喧嘩した際にも色々と相談に乗ってもらった、俺にとって掛けがえのない友人である。
酔った時に色々と内面をさらけ出してしまったのもあって、彼女の前ではあまり繕うことがない。でも、一線を越えたことはなかった。彼女は恋人にするにはあまりにも距離が近すぎるのだ。
そして、俺にとっては初恋の人でもあるため、なかなか一歩を踏み出せないでいる。
「とりあえず、付き合っちゃえばいいんじゃ無いかなぁ。当たり障りのない回答でゴメン」
「いや、ありがとう。気が楽になったよ。いつも本当にありがとうな」
本当に、彼女には感謝してもし切れない。自暴自棄になった時も、いつも彼女だけは俺を受け入れてくれていた。
だからこそ、こんな俺なんかとつるむのはやめて、早く幸せになって欲しいと思う。
「優香は結婚しないのか?」
「うん。今は仕事が楽しいからね!」
彼女はそう言ってにっこり微笑むが、それはきっと嘘だろう。彼女は美人でスタイルも良いのだが、特定の相手を作る気配はない。以前それとなく聞いたことがあるが、その時も「私は一人で十分だから」と返されてしまった。
「優香ならすぐに見つかるさ」
「だと良いけどねー」
彼女はそう言いながらコーヒーを飲み干すと、「ごちそうさま」と言って立ち上がった。
「あ、俺、送るから」
「いいよ、一駅だもん」
「いやいや、もう暗くなってきたし、危ないだろ。ほら、行こう」
「あ・・・うん」
小森が差し出した手を、優香はぎゅっと握って握り返す。
手を握るだけで顔を赤らめる彼女はとても可愛らしくて、思わず抱きしめたくなってしまうが、それをぐっと我慢する。
繁華街を通ると、街灯の明かりが眩しく輝いていた。
「今日は、ありがとう。小森君と話せて、楽しかったよ」
「俺も楽しかった。あの、うまく言えないけど、もし彼女ができたらこうやって話せなくなるの、ちょっとやだな。俺には、優香が一番だから・・・」
「え?」
「あ、いや、その。恋愛的な意味では・・・ない・・・と・・・思うんだけど・・・?」
自分で言っていて情けなくなる。四十にもなって何を言っているんだ俺は。
「なんて言うか、心の友みたいな、そういう・・・うん。親友って言うか」
「・・・ふふっ。ありがとう」
優香はそう言って笑うと、俺の手を引いて歩き出す。
「やっぱり私、諦められないかも」
「え?」
「ううん、何でもない。ね、久しぶりにカラオケ行こうよ」
「え?で、でも、もう遅いし」
「ちょっとだけ!ね?」
「わ、分かった。じゃあ少しだけね」
結局俺は彼女の押しに負けてしまう。
そのまま二人で近所のカラオケボックスに入り、二人きりの部屋でマイクを握った。
「ふふふ、久しぶりー!何歌う?」
「そうだな・・・」
最近の流行歌はよく分からなかったので、古い曲ばかりを選曲した。
「これ歌ってみて良い?」
「ああ、もちろん」
「じゃあ入れるねー♪」
優香は慣れた様子でリモコンを操作すると、俺の隣に座って肩を寄せてくる。
「こ、これは・・・」
「ん?どうかした?」
「い、いやなんでもないよ」
こんなの反則だ。もう、どうにかなってしまいそうなくらいドキドキしているというのに、さらに身を寄せてきて、耳元で甘い吐息を吹きかけてくる。
「ねえ、小森くん。この後、どうしたい?」
「ど、どういう意味かな」
「ん~。こういうこと、だよ」
優香はそう囁くと、唇を重ねてきた。
「ゆ、優香!?」
「ふふ、小森君は、私のことが好きなんでしょ?」
「そ、それは・・・」
「嘘つき。好きじゃない女の人と、ここまで仲良くできないよね?」
「ま、待ってくれ。俺は・・・」
「待たない。だって、ずっと前から狙っていたんだもん。小森君の初めてをもらうのは、私なんだから」
「あっ、ダメだ、優香・・・」
俺の言葉など意に介さず、彼女は俺を押し倒すと再びキスをした。今度は舌まで絡める濃厚なもので、頭がくらくらしてしまう。
「小森君、大好き。ごめんね、困らせるつもりはなかったの。でも・・・悔しくて」
彼女が俺の首にきゅっと抱き着く。
「ずっとずっと、選ばれるのを待ってたんだよ?ねぇ、私が何年片想いしていたか分かる?」
「え?、か、片思いって、お、俺に???」
「昔はね、小森君の気持ちが落ち着いてからでいいかって思ってたの。でも、そのうち、三十になって、三十五になって、それでも私は、ずっと待ってたんだよ?それなのにこんな仕打ち、あんまりだよ」
「えっ・・・ご、ごめん・・・優香は一人が好きなんだと思って・・・」
「・・・バカ」
優香が目を潤ませながら俺を見つめている。そんな目で見られると、胸が痛む。
元々奥手な子に、ここまで言わせないと気付かないなんて、本当に俺はバカだと思った。
いや、気付かないようにしていたのかもしれない。これ以上、彼女の重荷になりたくなかった。俺が俺を許せなかったから・・・。
かと言って、今更どうやって体を重ねろと言うのか。もう彼女とは近すぎている。今まで何百回と健全な会話しかしてこなかった俺達が、急に皮を脱ぐのは難しい。姉妹を抱くような感覚だ。
―ーもう、何もかも遅いのだ。
「と、とにかく、涙を拭いて。今日はもう遅いから・・・」
「どこが遅いのよ。もう私達、子供じゃないのよ」
確かにそうだ。もう三十代も半ばを過ぎているし、結婚していない男女が同じ部屋にいるだけでも意味ありげである。
(バグってたのは、俺のほうか・・・?)
「・・・優香」
出来るだけ優しそうな声で言うと、俺は彼女を抱き寄せて優しく口づけをする。
それから見つめ合って、もう一度キスをして・・・。
「優香、また俺に料理を作って。俺、あれが食べたいな。優香の特製カレーライス」
「ふふ、しょうがないなぁ。小森くんは、私のことが大好きだもんね?」
「ああ、大好きだよ」
「・・・わかった」
彼女は名残惜しそうに俺の首筋から手を離す。俺はなぜだかホッとした気持ちになって、彼女に微笑みかけた。
(俺、今もしかしてすごい悪い男なんじゃないか・・・?)
その予感は、いずれ的中することになるのだが。
+++
小俣恵美がまた叱られているのを見て、俺はなんだか腹立たしい気持ちになった。
彼女のことを疎んだ時期もあったが、こうやって見ればなかなかどうして可愛い子じゃないか。
そう思うと同時に、あの頃の発言に対する罪悪感と、それを認めたくない自分との間で葛藤している己に気付く。
(そうだとしても、一体いつ謝ればいいんだ?個人的に会話をする暇がない。それに、向こうはそんな事覚えちゃいないかもしれないし。そう、昔の事でぐるぐる思い悩むのは発達障害の悪いクセだって聞いたし)
「小森?」
後ろから声を掛けられて振り向くと、小俣恵美がいた。
「あっ、は、はい。何か?」
思わず冷たい言い方をしてしまう。
「今度の宗教展の記事って、あなたの担当なんですよね?」
「あっは、はい、そうです」
「じゃ、ちょっと来て下さい」
彼女は俺の腕を掴むと、ずんずん歩いて行く。
「あの、どこに行かれるんですか」
「いいから来てください」
そのままエレベーターに乗り込むと、彼女は最上階のボタンを押した。
「こ、小俣さん?」
「小森」
「はい」
「私と付き合ってください」
唐突だった。彼女はいきなり俺に告白してきたのだ。
「えっ?そ、それはどういう・・・」
「企画展。私と取材に付き合ってください」
「・・・・・あ~~~~~~~、はいはいはいはい・・・取材ね・・・もちろんOKですよ」
「ありがとうございます。小森さんの都合もあると思うので、明日からでも大丈夫です・・・小森さん?なんだか顔が赤いですけど・・・もしかして、熱でもあるんじゃない?」
そう言って、彼女が俺のおでこに手を当ててくる。
(うわっ!やめてくれ!!心臓に悪い!!!)
「だ、だいじょぶう、なんんでもありません」
「そう?ならいいんだけど」
彼女は相変わらず無防備というか、距離が近い。
「それでは明日10時に迎えに上がりますので」
「し、承知いたしました」
「よろしくお願いします」
彼女はぺこりと頭を下げると、颯爽と帰って行った。
「・・・・・・はぁ~~~~~~~~~~~~~」
俺は尻もちをついて、エレベーターの扉を眺める。
(やばいやばいやばい。何だこれは。胸がひき千切れる)
彼女はただの学生時代の友人で・・・俺の理解者で・・・ただそれだけのはずだ。
しかも俺はあの日、彼女を罵った・・・彼女の隣に立てない自分に腹を立てて、八つ当たりして・・・。
(おれは確かに彼女が好きだった。でも、それは憧れという意味で・・・俺にないものをたくさん持ってる彼女のことが・・・どうしようもなく羨ましくて・・・だからあのとき、ついあんな事を言ってしまったんだ)
自分で選んだ道だった。そして勝手に挫折して、勝手に裏切られて、彼女は悪くないと今ならわかる。勝手に被害妄想をこじらせていたのは俺のほうだ。今の俺は彼女が愛しいと思うし、あの頃に戻れるなら何だってしたい。
(いや、いやいやいや。それ以上でも以下でもない。俺は彼女に謝って、救われたいだけだ。エゴ以外の何物でもない)
せめて、彼女が転んだ時に力になれたら。俺にはそう願うのが精一杯だった。
+++
「おはようございます」
「お、おはよう」
小俣恵美はいつも通り、きちんとメイクをしてやってきた。
(かわいい)
あの頃は色々と切羽詰まっていて、彼女を「そういう目」で見たことがなかった。しかし改めて見れば、八頭身のモデル体型だし、顔立ちは整っている。
(メイクが趣味なのもあって、いつもお姫様みたいに綺麗にしてるんだよな)
とくに今日はなんだか、輝いて見える。
思わず左手の薬指をチラリと見て、何もしていない事に安心する自分がいる。
(いや、いやいやいやこれはあのあれよ、先を越されたらショックみたいな、ライバル心的なアレだ。だよな!うん!)
「小森、聞いてます?」
「へっ!?あ、ご、ごめん。何だっけ?」
「もう、しっかりしてください」
「すいません」
「いいですか?今回のテーマは『宗教と本能』です。人間の本性とは、理性ではなく本能にあるのではないか?というのがテーマです」
「な、なるほど」
「宗教が栄えた理由として、人々の不安を煽ってコントロールしたという説と、宗教の戒律によって人々を縛り付けようとした説があります。そのどちらが正しいのか、というのは永遠の課題ですね」
「そうだね」
「あと、このあたりで大きな戦争が起きています」
「ああ、第一次大戦前か」
「はい。この時代は列強諸国が台頭してきた時代で、植民地政策のためにアフリカやアジアに進出してきました」
「帝国主義の時代だな」
「そうです。その影響でキリスト教は迫害を受け、カトリックは弾圧され、プロテスタントは国外追放になります」
「えっ?そうなの?」
「はい。さらにアメリカにおいては禁酒法が作られ、マフィアなどの犯罪組織が横行していました」
「へぇ」
「私は、そこが面白いと思うわけです。つまり、抑圧されていた人々が自由に振る舞えるようになったからこそ、彼らは自分の欲望の赴くままに行動するわけで・・・」
彼女の蘊蓄は美術館に着くまで続いたが、俺はそれを熱心に聞き入っていた。
「わぁ~すごい!」
「うわぁ・・・」
小俣が子供のように身を乗り出して、展示されている絵画に見惚れている。
「こういう絵を見ると自分がいかにつまらない絵を描いているか痛感させられます」
「宗教画はストーリーがあるから、見る人によっては退屈に感じるかもしれないけど、俺は・・・好きだよ」
「ありがとうございます。私も好きです」
彼女は少し頬を赤らめながら言った。
「小森は、あの時の・・」
そのとき、館内放送が流れる。
≪お客様にご案内申し上げます。只今よりワークショップ『偶像制作』を開催いたしますので、参加者の方々は1階のホールまでお越しください≫
「あ、行かなきゃ!さあ、行きましょう、小森!」
子供みたいに駆け出す彼女を、俺は追いかけた。
+++
「お、おい小俣・・・こんなに買ってどうするつもりだ?」
「え、もちろん飾るんですよ。そのために買い出しに来たんですから」
彼女は当たり前だと言わんばかりに答える。
「いやいや、さすがに怒られるぞ」
「誰が経費で払うなんて言いましたか?」
両手に袋をぶら下げて、彼女は笑う。
「えっ?じゃあどうやって」
「内緒です。ほら、早く帰りますよ」
彼女は俺に土産袋を押し付けて歩き出す。
(あーあ、結局こうなるのか)
俺はため息をつきながらも、彼女が転ばないように後を追った。
「楽しかったね」
地下鉄の座席に座りながら、小俣は言う。
「まあ、そうだな」
正直、疲れたが。
「前にもこんな事あったね」
俺が横目で見ると、小俣は悪戯っぽく笑った。
彼女の考えていることが分からない。俺と昔話なんかして、どうしたいのだろうか。
俺は深呼吸をして、口を開く。
「あ、あのさ、小俣さんは覚えてないかもしれないけど、君にひとつだけ謝らなきゃいけないことがあって」
俺がそう切り出した瞬間、肩に何かが乗っかる。
「ひゃうっ!?」
振り向くと、彼女が無防備な寝顔を見せて眠っていた。
俺は優し気な表情で微笑むと、スマホを取り出し、写真を撮った。
「まったく、困った子だな」
そのまま、彼女が起きるのを待つ。
昔に想いを馳せていると、夢を見た。
小俣の家で、小俣の両親がお茶会を開いてくれていた。
そこで、俺は彼女に告白される。
「私と付き合ってください」
「ごめんなさい」
「どうして?」
「好きな人が居るんだ」
「誰?教えてほしいな」
「それは・・・」
ガタンという振動で目を覚ますと、電車はすでに目的の駅を過ぎていた。
俺は慌てて立ち上がり、彼女を揺り起こす。
「小俣、起きろ!降りるぞ!」
「ううん・・・あと五分・・・」
「くそっ」
そのまま小俣を抱えて電車を降りるが、彼女は起きる気配がない。
(あーもう・・・家に送るにも住所を知らないし・・・終電も出ちまったし・・・しょうがない、奥の手しかないか)
俺は彼女を抱き抱えると、近くのホテルに向かった。
部屋に入り、ベッドの上に優しく下ろす。
彼女は相変わらずすやすやと寝息を立てていて、まるで眠り姫のようだった。
「・・・本当に無防備すぎる」
俺は彼女の前髪を掻き上げて、頬に手を当てた。
あの時拒絶したのに、今更になって彼女を欲しいと思う俺は本当に勝手だ。
「起きないと、何されても知らないぞ」
そう言ってキスを落とし、太ももに指を這わせる。ダメだと頭では分かっていても、本能がそれを許さない。
「ん・・・」
彼女の唇から甘い吐息が漏れる。それがさらに俺の劣情を煽った。
しゃぶりつきたい衝動を必死に抑えていると、ふと視線を感じ視線を上げる。
すると、小俣が顔を真っ赤にさせて俺を見つめていた。
「あっえっこ小森、何して・・・」
「違うんだ、これは」
「まさか小森がそんな人だって思わなかった」
「落ち着いて」
「いやっ、離して」
「待って、落ち着いてってば」
暴れる小俣の両腕を押さえつける。彼女がよじるほど服は乱れ、その隙間から白い肌が見え隠れしていた。
涙目になる彼女を見て、俺の股間は完全に勃起してしまった。
「小森、最低だよ」
「ごめん、でも」
「ごめんじゃない!わ、私だって少しは期待してたのに・・・」
「えっ?」
彼女は真っ赤になったまま、太ももをすり合わせる。
それからゆっくりとスカートを脱いでいく。
「ほ、ほら・・・いつもはこんな下着履かないんだよ?今日のために新調してきたの」
「こ、小俣さん」
「ねえ・・・小森」
彼女は俺を潤んだ瞳で見上げると、耳元で囁く。
「優しくして・・・」
俺の理性は、そこで崩壊した。
ハイヒールを脱がせて、つま先から舌を這わせていく。
ゆっくりと足の付け根まで舐め上げ、M字に開脚させた。
淫らなその姿は、さながら悪魔に辱められる女神のようだった。
「小森ぃ・・・」
甘えた声で俺を呼ぶ。秘所はすでにぱくぱくと口を開けており、俺のペニスを求めていた。
その誘いに応じるように、俺は自分のモノを取り出す。
そして勢いよく挿し込んだ。
「あぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?!?」
普段感情を表に出さない彼女が大きく口を開けて喘ぐ。
パンッパンッと腰を打ち付ける度に彼女の体は跳ね上がり、口からは獣のような声が溢れる。
結合部からは愛液と精液が混ざり合った液体が流れ出し、シーツに大きな染みを作っていた。
「待っで!イッでる!今イッでるのにぃ!!!!」
俺達は体位を変え、何度も交わり続ける。
「そこだめぇ!!!あっ、あっ、またイっちゃうぅ!!!」
小俣が絶頂を迎えると同時に膣内が激しく収縮し、俺も射精する。だがそれでも萎えることなく、そのままピストンを再開した。
「あああああああっ!!!!!そこ弱いっ!そこ弱いのっ!!!」
亀頭を子宮口に擦り付け、ぐりっと押し込む。彼女は悲鳴に近い叫びを上げながら体を痙攣させていた。
俺は小俣を抱きしめると、そのままラストスパートをかける。
「出すよ!」
「あああぁぁ!!!」
卑猥な音とともに、大量の白濁が吐き出される。
俺はそれを全て彼女に注ぎ込み、ようやく一息ついた。
「はあっ・・・はあっ・・・」
小俣の淫乱な口は俺のペニスを咥え込んで離さない。奥に当たる感触を楽しむかのように、子宮口がくぽくぽと亀頭を舐めてくる。
やがてふたたび痙攣しはじめ、俺はすべてを搾り取られた。
「んふぅ・・・」
ずるりと肉棒を引き抜くと、小俣は名残惜しそうな表情を浮かべた。
「私、発達障害の検査受けてみる」
小俣はベッドに横になりながらそう呟いた。
彼女の言う通り、おそらく小俣も発達障害だろう。それは、ここ数週間の勤務を見ていて確信した。
「・・・あのとき、傷ついた?」
俺は恐る恐る問う。
「うん、でももう大丈夫だよ。むしろ感謝してるくらいだし。小森のおかげで、私は一歩前に進めた気がする」
「そっか、よかった・・・」
彼女の笑顔に、心底救われた気がした。
ああ、おれの女神様だ。
「小森は私のことどう思ってるのかな」
「好きだ」
「それは10年前も聞いた」
「・・・結婚してくれないか」
「ごめんなさい」
「即答かよ」
一世一代のプロポーズだったのに、小俣はあっさり振ってしまった。
「はぁ・・・」
「でも、小森は私の初めての男だよ」
そう言って頬にキスをする。
「じゃあ結婚・・・」
「嫌。そもそも同じ障害を持ってたらやりづらいでしょ。子供も遺伝しやすいし」
なるほど。それは現実的な話だ。
「・・・今、三人の女性に告白されてて」
俺はことの経緯を小俣に話すことにした。
「え?三又ってこと?小森、最低」
「いや違う。いや、違わないのか?俺ってなんでこう最低なんだろう・・・」
「まあいいわ。で、誰にするの」
「・・・顔で言えば山崎」
「ふーん、小森、ああいう子が好みなんだ」
否定できない。
「小俣の顔だってめちゃくちゃ好みだよ。特に目元のホクロがたまらないんだ」
「・・・へえ」
「それにスタイルもいい。ファッションセンスもあるし、いつもオシャレな服を着てるところがすごくいいと思う」
「・・・あ、ありがと」
「あと優しいところとか、ちょっと天然なところもあるけど、それがまた可愛いんだよ。まさに理想の女性だと思うんだ」
「ちょっ、やめて!」
顔を真っ赤にして照れる。こんな反応を見せるなんて珍しい。
「それで、三人の中では誰が一番好きなの?」
少し考えてから答える。
「・・・一番先に妊娠した子と結婚するってのはダメかな?」
「・・・それ、本人たちの前で言ったら絶対フラれるわよ」
「そしたら結婚してくれる?」
「いいかげんにしろ」
パチンッと頭を叩かれた。痛かった。
+++
「みんなぁ、カレーができたよぉ~」
優香のかけ声で、リビングにいた俺たちはダイニングへと移動する。
テーブルには、お店で買ってきたようなサラダと飲み物が置かれていた。
「わぁ、うまそう」
「本当に美味しそうですね!」
「・・・・」
藤井は無言で写真を撮り続けている。彼女なりの喜びの表現だろう。
「さぁ、冷めないうちに食べてください♪」
「いただきます!・・・うん、おいしい。やっぱり優香のカレーはこの世で一番うまい」
「そんな、大げさだなぁ」
俺が絶賛すると、彼女は嬉しそうに笑った。
今日は山崎の優勝祝いを兼ねて、優香の家でパーティを開くことになった。
山崎宅に比べれば手狭だが、それでも十分すぎるほど広い家だ。
「はい小森さん、あーん」
「えっ!?ちょ、みんな見てる前で・・・」
「恥ずかしがらないでください。ほら早くぅ」
山崎はスプーンを俺の口元に差し出してくる。
俺は仕方なく口を開け、パクっと食べた。
「小森さん、どんどん飲んでいいですからね。あの日みたいに♡」
「い、いや、もうあんな失敗はしないよ」
「ふぅん、そうですか」
なぜか機嫌を損ねる。意味がわかんねえ。
「あ、私も飲みたいかも」
「じゃあ一緒に飲もう。はいコップ持って」
優香にシャンパンを注ぐ。
「ありがとう」
「ねえ、これってハーレムってやつじゃない?」
藤井が無表情のまま首を傾げる。
「ははは、確かにそうかもね」
俺は笑いながら答えた。
「小森、小森、わたしも注いで」
「はい」
「うふぅん、ついでにココにも、小森のあっついミルク注いで欲しいなぁ」
山崎はそう言って自分の下腹部を撫でた。
こういう積極的な子は嫌いじゃない・・・むしろ好きかもしれない。
「山崎さん、そういうことは軽々しく言うものじゃ・・・」
「ちょ、ちよっと、抜け駆けしないでください!」
「小森は下品な女は嫌い。でしょ?」
優香と藤井が山崎を睨みつける。
三人とも、今日は豪勢なドレスで着飾っており、まったくの眼福である。
「別にぃ、私は小森さんが好きだからやってるだけですけどぉ」
「まあまあ。さあ、もう遅いし、みんなもう寝よっか」
「寝る」という言葉に反応して、女の子たちがにらみ合った。
「――そうですね。いろいろと、準備も必要ですし」
「誰が選ばれるのか・・・楽しみですねえ」
「小森は不誠実なコトはしない。きっと全員が納得する答えを持ってくるはず」
「そ、そうよね!」
「・・・その通り」
「わかってるじゃない」
うなずき合う女の子たちをよそに、俺だけが何も分かっていないのだが、そのことに気付く者は誰もいなかった。
(うう・・・小俣、助けてくれよ・・・。)
+++
みんなが寝静まった夜中。優香は食器を片付けるため、台所に立っていた。
(私の家でパーティーをするって聞いたときはびっくりしたけど・・・まさか噂の二人も連れて来るなんて、ホントに面白いなぁ、小森君って)
くすりと笑いながら皿洗いをしていると、リビングの扉が開いて噂の彼が現れた。
昼間はしっかりと肌を隠していることの多い彼だが、今は露出の高い服を着ている。
その姿にドキリとしたが、悟られないよう笑顔を作る。
「ゴメン、起こしちゃった?」
「眠れないの?」
「ちょっとね」
「そっか」
彼は私の横に立つと、汚れたお皿を洗い始めた。
「・・・もう、会わない方がいいと思うんだ」
「え・・・?」
彼の言葉の意味が分からなかった。思わず聞き返すと、彼は小さな声で言った。
「もう、君に謝らせたくない。俺じゃ君を幸せにできないから」
ズクリと、胸が痛む。
「幸せにしてほしいなんて誰が言ったの?思い上がらないで!」
「嫌だ。優香には幸せになってほしいんだ。もっと愛されてほしいんだ」
「・・・あなたの愛じゃだめなの?」
「愛だけじゃダメなんだ」
「どうしてそんなこと言うの!?」
「・・・ごめん」
彼はそう言うと優香に抱き着いてきた。
それから首の後ろを撫でてくる。思わず腰を引くと、硬くなったものを擦り付けて来た。
「んっ・・・」
「優香。俺は王子様じゃない。優香は、王子様が大好きだったろ?でも、おれは、ただのケダモノだから。ずっと君の前では猫を被っていただけで」
両方の乳首をつねられて、思わず膝が砕ける。
「あ・・・なに・・・♡」
感じたことのない快感に、頭が焼けそうになった。
彼の太い指はなおも優香の乳首を捏ね続け、身体中の電流が収まらない。あっという間にアソコが濡れそぼり、酸っぱい匂いが立ちこめる。
優香はキッチンに体を預けると、小森が覆い被さるように抱いてくる。
そのままパンツを下ろされ、太いものが挿入される感覚があった。
(これが・・・小森君のおちんちん・・・!)
長い間ずっと夢見続けてきたことが現実になったのだ。
「小森君・・・だめだよっ、こんなところでっ・・・」
「ごめん、我慢できない」
そのまま卑猥な音を立てていると、寝室の方から山崎と藤井が淫靡な格好で入ってくる。
「小森、次は私とヤッてよ!」
「だめ、次は私」
「じゃあ二人でやれば良いんじゃないか!?」
「・・・名案だわ」
「良いじゃん」
そう言って山崎と藤井はキスをし始めた。
優香は己の内部を荒らし回るケダモノに耐えるのが精一杯で、声を上げることすらままならない。
やがて小森は満足したのか膣内に自らの精子をぶちまけ、床を汚しながらそれを引き抜いた。
同時に崩れ落ちる女を見て、小森は心底後悔した。
傍では快楽を貪り合う女が二人、足元には痛みに苦しむ女が一人。
(俺・・・何してんだろ)
そのときインターホンが鳴り、玄関を開けると、そこには小俣がいた。
「やあ、来てくれたのか」
玄関に入るや否や、彼女は小森に抱き着く。
彼無しでは生きられないカラダに開発されてしまったことに今更気付いたのだ。
「私、悟ったのよ」
「え?」
「体の相性が全てだって」
そのまましばらく見つめ合っていたが、小森が口を開いた。
「子供は神に任せよう」
「ええ」
二人が口付けを交わす。
それを見ていた優香は悔しさのあまり、叫んだ。
「もう遅いから、みんな寝なさい!」
~完~
特別読み切り 優香が媚薬飲む話
私の性器が名器すぎるらしく、小森くんはすぐにイッてしまって私はまったく楽しめない。
彼が気持ちいいのは嬉しいことだけど、私としてはもっと楽しみたいと思ってしまう。
・・・そうだ!
「ねぇ小森くん」
「ん?どうした?」
「コレ、使ってみようと思うの!」
そう言って私が取り出したのは『媚薬』と書かれた小さな箱だった。
「びっ・・・!?」
「うん、媚薬」
彼は固まってしまって、何も言えなくなってしまったみたい。
そりゃあそうだよね。いきなりそんなこと言われたら困っちゃうよね。
私はフタを開け、中身を取り出すと、一気に飲み干す。
「ふぅー・・・」
これで準備は整った。後は小森くんの射精を待つだけ。
「ちょっとトイレ借りるね」
そう言って立ち上がると、彼に手を引っ張られた。
「待って優香ちゃん」
彼の目は真剣そのものだった。
「なんでそんなもん飲んだんだよ!?」
「え、だって・・・体の相性が全てなんでしょ?なら、これくらいしないとダメかなぁって思って」
「そんなことしなくても、ゴムを厚くするとか、手とか舌を使うとか色々あるじゃないか」
「でも、せっかく買ってきたのに使わないともったいないし」
「こらぁー!」
怒られてしまった。
やっぱりこういうことは良くないのかもしれない。
反省していると、小森くんが耳元で囁く。
「ほんと、淫乱で下品なんだから」
顔を見ると、少しニヤついているように見えた。
じわりと汗がにじんでいくのが分かる。これが薬のせいなのか恥ずかしさによるものなのか分からないけど、とにかく体が熱くて仕方がない。
「優香・・・好きだよ」
優しく抱きしめられると、お腹の奥がキュンとなる。
きっと子宮が疼いているんだろうな。
彼の大きな手が乳房に触れる。
「あぁっ!?」
(ウソ、触れられただけでイッちゃった・・・)
彼も私の反応に驚いているようだ。お互い少し触れるだけでもイッてしまう。こんな状態で擦り合ったら、一体どれだけの量が出るのか想像すらつかない。
「し・・・死んじゃうかも」
彼の手を取り、下半身へと導く。
既に濡れそぼっているそこは、指先が触れた瞬間、歓喜の声を上げた。
ゆっくりと挿入されていき、奥まで到達する頃には、私の膣は痙攣を繰り返していた。
イキ狂いそうになるほどの激しい快感が全身を駆け巡る。
(ああっ・・・もう、擦ることしか考えられない・・・・っ♡♡♡)
イッてもイッても終わらない。むしろ感度が増していくようで、絶頂のたびに頭の中で火花が散っていく。
クリトリスを容赦なく責め立てられ、さらに中からもGスポットを刺激されているような感覚に襲われる。
もう何も考えられない。私は腰を浮かせて全力で快楽を求め続けた。
そしてフィニッシュ。膣内にペニスが挿入され、ポルチオを押し上げられると同時に、熱い飛沫が注ぎ込まれる。
その精液を飲み込むように締め上げると、彼は苦しそうな声を上げて果てていった。
その後も何度も交わり続け、気が付けば夜が明けていた。
それでもなお、私達は飽きることなく交わっていた。
~完~
特別読み切り 藤井さんがコスプレして抜いてくれる話
「ハッピーハロウィーン♪」
そう言って小悪魔コスの藤井が俺の部屋を訪れたのは、10月31日の夜のことだった。
「それ、自分で用意したのか?」
「まさか!これは友達に借りてきたのよ」
「へぇー、なんか意外だな。そういうの興味なさそうだと思ってた」
「失礼しちゃう。私は撮るのも撮られるのも好きなのよ」
彼女はスマホを取り出すと、インカメラに切り替えた。
「ほら、見てみて」
画面に映るのは、真っ黒なマントに身を包んだ彼女の姿。しかし、肝心の部分が丸見えになっていて、スカートの下からは陰毛が顔を覗かせている。
見ろと言われたので見て良いはずだが、どうにも気まずくて目を逸らすと、クスッと笑う声が聞こえた。
「ねぇ、興奮した?」
そう言って股間を撫でてくる。俺は素直に白状することにした。
「はい・・・あなたの手で俺にイタズラしてください・・・」
「ふふっ、よく言えました」
藤井は嬉しそうに微笑むと、ゆっくりファスナーを下げてズボンを脱がしていく。
パンツ越しに触れた手は、そのままやわやわと揉み始めた。
「んー、ちょっと硬くなってるね」
「そりゃあそうだよ。目の前でこんなことされたら」
「ふーん?ねぇ、小森くんの性感帯っておちんちんだけなの?」
「え?そ、それは・・・」
「じゃあさ、こことか触られても気持ちいいのかなぁ?」
そう言うと、胸板に手を伸ばす。
乳首の周りをなぞるように円を描きながら、徐々に中心に近づいていく。
「あっ♡待って、藤井さんっ・・・ひっ♡」
ついに爪を立てられると、鋭い痛みと共に甘い痺れが広がる。
その反応を見て、彼女は笑った。
今度は指先で軽く弾かれる。
コリッコリッとした感触が伝わってきて、思わず喘ぎ声を上げてしまった。
「んんっ!?」
そんな俺の反応を楽しむかのように、執拗に同じ場所を攻め続ける。
服の上からだというのに、まるで直接弄られているかのような感覚だった。
「あらあら、下から液が漏れてるわよぉ?可愛い顔してド変態なんだぁ♪」
「ふ、藤井さん、下を、下も擦ってください、お願いします・・・っ」
「ダァメ。まだ我慢できるでしょ?」
「そ、そんな・・・」
ドスケベな小悪魔はそんな俺を無視して、耳元に口を寄せた。
「イタズラはまだ始まったばかりだよ、こ・も・り・くん」
そして、再び指先による愛撫が始まった。
「くぅっ♡あっ♡はぁっ、んはぁぁっ♡♡♡」
「気持ち良さそうな声出しちゃって、可愛いんだ♡」
「あふっ・・・ふ、藤井さんっ・・・んんんんっ♡♡♡♡♡」
指先が動くたびに体が跳ね上がり、快感に打ち震える。
「藤井さんっ」
「なーに?」
「キスしたいです・・・♡」
「もう、しょうがない子だね・・・射精したらダメだからね?ちゅぱっ♡じゅぽっ♡れるっ♡ずぞぞぞっ♡ぢゅるるるっ♡」
とてつもない吸引力で肉棒を吸い上げてくる。
あまりの強さに、一瞬意識が飛びそうになった。
唇が離れると糸を引く唾液がいやらしく光っている。
そして、あんぐりと開けた俺の口に、藤井さんの舌が入り込んできた。
キスをされながら乳首をいじられながら挿入されて、頭がおかしくなりそうなほどの快楽に包まれている。
(射精したら殺される・・・ゼッタイ我慢しなくちゃ・・・)
そう思うものの、体は正直なもので、もう限界が近かった。
狂った頭で激しくピストン運動するペニスに必死に耐えていたが、やがてその時が訪れる。
「あふぁっ、出るっ、出ます!藤井さん!!」
「出してぇ♡全部飲んであげるからぁ♡」
「うぐぅうううううう!!!!」
ビュルルルーーーーーッ!!ビューッ、ビュッ、ドクッドクッ
「んっ、すごい量・・・♡ごくっ、ごきゅっ、ぷはっ♡美味しかったよ、小森くん♡また出してね?」
「うっ・・・ふっ・・・は、はい・・・」
俺はそのままベッドに倒れ込み、深い眠りに落ちていった。
~完~
特別読み切り スイーツに練乳をぶっかける話
今日は藤井さんと二人で、近所のカフェに来ていた。
俺はコーヒーを飲みながら、パフェを食べる彼女を眺めている。
「ねぇ見て。これすごくない?」
そう言って彼女が見せてきたスプーンには、真っ赤に染まった生クリームが大量に乗っていた。
「おお、すごいね。でも、よくそんなの食べられるね」
「ふふん、実はね、この前テレビで見たんだけど、これを食べると美肌効果があるんだって!」
「へえ、それは知らなかったなぁ」
確かに、真っ白なクリームの上に乗っかる赤いソースは、血のようにも見える。
「それじゃあ、いただきまーすっ」
パクっと一口食べて、彼女は目を輝かせた。
「うんまっ!!!ほら、小森くんもどう?」
そう言うと、自分の使っていたスプーンをこちらに差し出す。
「え?いいの?」
「もちろん。はい、あーんして」
「あ、あーん……」
「どお?おいしい?」
「うん。ちょっと甘すぎるけど、これはこれでアリかも」
「良かった。じゃあもう一回食べるね♡」
今度は自分で食べた。
「ふふ、間接キスだね」
「そ、そうだね……///」
恥ずかしくて、顔が熱くなるのを感じた。
~完~
特別読み切り 山崎に夜這いする話
――私は囚われの姫。日々、このお城で辱めを受けています。
しかしある日、王子様が現れました。その方はとても優しく紳士的で、私をここから連れ出そうとしてくれます。
そしてついに、私の部屋までやって来てくれました!ああ、嬉しい。早く助けてください。
「やあ、君を助けに来たよ」
「来てください、小森さん・・・!早く私をこの鎖から解放して!」
彼はテーブルの上のボトルを手に取り、グラスに注いだ。そしてそれを一気に飲み干すと、いきなり服を脱ぎ始めたのです。
シャツの下からは鍛え上げられた肉体が露出し、全裸になったところで手招きしました。
「さあおいで。僕と一緒に楽しいことをしよう」
「はい、喜んで♡」
ベッドに腰掛ける彼の股間に顔を近づけると、すでに固く勃起しているのが見えます。
「はぁ・・・なんて立派なんでしょう・・・♡」
うっとりとした表情を浮かべながら、ゆっくりと舐め上げると、ビクンと反応します。それが可愛らしくて何度も繰り返してしまいました。
先端を口に含んだまま舌先でチロチロすると、甘い声が漏れ始めました。
「うっ・・・山崎、気持ちいい・・・♡」
彼は力が抜けてしまったのかベッドに倒れこんでしまったので、私は彼の上にのしかかって足を広げます。
「もっと欲しいんですか?仕方のない人ですね♡」
「あっ・・・やめっ、山崎のナカはすぐイッちゃうから・・・くぅううっ♡」
「ふふっ、可愛いですよ、小森さん♡」
「可愛いのは山崎さんだよ・・・」
私のナカで小森さんのぶっといアレが暴れて、私の性感帯をくすぐります。
そのたびにブチュッブチュッと卑猥な音でお尻を叩きつけてくるので、頭がおかしくなりそうなくらい興奮してしまいます。
「あんっ♡おっぱい、ダメです・・・ひゃうっ♡」
乳首を吸われて、思わず仰け反ってしまいました。
「山崎さんのおっぱいでかいから・・・最高だよ・・・」
周りからは「大きすぎる」と罵られるこのおっぱいも、小森さんにとっては最高らしい。
「もう我慢できないよ。中に出させて・・・」
「はい♡いっぱい出して下さいね?」
「山崎さんこそ、僕のミルク全部飲んでね?」
「もちろんですっっ、はやくっ、はやくっ、はやくぅぅぅ♡♡♡あああああああっ!!!!!」
私の中で噴水のように熱い液体が流れ込んできました。
それに合わせて私もイッてしまいます。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。小森さんのおちんちん以外考えられません・・・もう一度シてください・・・」
「えっ、も、もう無理だよ」
「大丈夫、小森さんは寝てるだけで良いですから・・・ね?」
そうして私と王子様は、夜が明けるまで何度も何度も交わり続けました―――
~完~
特別番外編 小俣に看病してもらう話
「まったく・・・こんな大事な時期に風邪なんて、呑気よね」
「すみません」
私は嫌味を言いながら、おかゆを作ってあげていた。
看病をするのは面倒だけど、小森をからかってみたい気持ちもあったし、それに――。
チラ、と彼の横顔を見る。弱っている彼はいつもよりちょっとだけセクシーに見えるのだ。
「ん?どうしたの?」
視線に気付いた彼がこちらを向いて微笑む。
その目で絡め取られるだけで、身体の奥が疼いて仕方がない。
(ダメダメ。今日は看病しに来たの。エッチなことなんてしないわ)
自分に言い聞かせるように首を振ると、再びキッチンへ戻って行った。
***
ご飯を食べ終えると、薬を飲ませてあげた。
でも、それだけじゃまだ足りない気がする。
「汗を拭いてあげる。脱ぎなさい」
「・・・うん」
少し躊躇いながらシャツを脱ぐと、鍛え上げられた肉体が現れた。
「小俣さん・・・なんだか同人誌みたいだね」
「何言ってるのよ。ほら、背中向けて」
タオルでゴシゴシ擦り上げると、彼は気持ち良さげな声を上げた。
「ねぇ・・・前も拭いてよ」
「きゃっ・・・」
いきなり抱き寄せられると、そのまま股間に顔を押し付けられてしまった。
むわりと男の匂いがする。思わずスンスン嗅いでいると、上からクスリという笑い声が落ちてきた。
「変態。そんなにこれが好きなの?」
ズボンの隙間から指を差し入れると、そこは既に熱くなっていた。
「小森、ツライんでしょ?寝たほうが良いよ」
「やだ・・・小俣といっしょに寝るぅ」
子供のようにグズる小森に私は叱咤する。
「駄々こねるんじゃないの!私はアンタのママじゃないんだから!」
「わかってるけどぉ・・・」
布団の端を持ち上げて、手招きをする。
「おいでよ、小俣」
「・・・仕方ないなぁ」
私は仕方なく彼の腕の中に収まることにした。
小森の体温が心地よくて、すぐに眠くなってきてしまう。
「おやすみ、小俣」
優しい声で囁かれながら頭を撫でられると、意識が遠のいていった。
~完~
特別読み切り 俺のどこが良いわけ?
鏡を見ながら、ため息をつく。
そこにはただの疲れたオッサンが映っているだけだ。
「イメケン」ではないことは確かだ。チャラチャラもしていないし、目つきも悪い。
こんな自分がなぜモテているのか分からず首をひねる。
(・・・てか、俺の笑顔、キモいな)
ニコッと笑うつもりがニヤッとしか笑えず、歯茎が見えてしまっている。
「ははは、小森さん、似合ってますね」
「えっ?」
急に声をかけられて振り向くと、そこにいたのは後輩だった。
「あっ、いえ、なんかそういう風に笑ってるところ初めて見たかも、と思って」
慌てて取り繕うように言う後輩に俺は尋ねた。
「何か用?」
「あっ、そうです。小森さん、今日は飲み会来ますよね!?」
「いや、俺は残業はしない主義だから」
「またまたそんな事言って、顔に出てますよ、小森さんも行きたいって」
「はぁ?何言ってんだよ、別に酒好きじゃないし」
「小森さんが好きなのは酒じゃなくて女でしょう?」
図星を突かれてドキッとする。
「いいから、早く仕事戻れよ」
「あーはいはい。それでは失礼します」
去っていく彼の後ろ姿を見つめながら、また大きなため息をついた。
***
「お前さ、最近付き合い悪くないか?」
帰り道で上司の川野さんが言った。
「彼女でも出来たのか?」
「うーん・・・いや、そもそも昔から付き合い悪いでしょう」
「ふぅん、まぁ確かにそうだな」
納得されるとそれはそれで腹が立つのだが。
「で、どんな娘?どっちから告ったの?」
「川野さん・・・俺ってなんでモテるんですか?」
「え?知らんけど。イケメンだし、優しいし、真面目じゃん」
「え?イケメンなんですか?笑うとキモくないですか?あと、優しいとかあり得ないですよ」
「自分で自分のことどう思ってるか知らないけど、少なくともその子は君のことが好きだろ。なら、君が自分をどう思おうと関係ないじゃないか」
「そういうワケにも行きませんよ。からかわれてるだけかもしれないし」
「・・・本当にそうなら良いんだけどな」
ボソっと呟かれた言葉の意味がわからなかった。
~完~
特別読み切り おいでよ、どうぶつの森
ゲームをしていると、画面上にメッセージが現れた。
『どうぶつ村の住人になりました』
「へぇ、面白いなこれ」
ポチポチとボタンを押して住民達との会話を進めていく。
すると、住人の一人がこう言ってきた。
「ねぇ、みんな集まってくれる?」
言われるがままに広場に集まると、彼女は皆の前で言った。
「実は・・・私、妊娠したの」
「マジか」
「これで小森くんの子供産めるわね」
「おめでとう」
「ありがとう。嬉しい」
「実は、私も妊娠したの」
「私も」
「私も」
「「「ねぇ、私たちの子、責任持ってくれるよね?」」」
「・・・はっ!?夢オチかよ!!」
目を覚まして、思わず叫ぶ。
~完~
特別読み切り 一人の夜
俺の昔の夢は、プロのサッカー選手になる事だった。
小学校の頃、クラスで一番足が速かった俺は、当然のようにサッカー教室に通っていた。
しかし、中学校に上がると、その足の速さは失われていた。
「小森、お前、スポーツ推薦で高校行くんだって?」
「まぁな」
担任の教師の言葉に、俺は答えた。
「勉強も頑張れよ」
「わかってますよ」
適当に手を振りながら、その場を去る。
「小森ー!お前も一緒に受けようぜ!」
サッカー部の友人の声が聞こえたが、無視をした。
~数日後~
「小森、お前、ちゃんと志望校受かるといいな」
担任教師は俺に向かって言い放った。
「まぁ、なんとかなりますよ」
俺は適当な返事をして、進路指導室を出る。
小俣と新妻が見送りに来てくれた。
「小森くん、頑張ってね」
「小森、応援してるよ」
「おう、ありがと」
しかしその後どうなったかは、現実のとおりであった。
夢は叶わなかったが、今でもサッカーを続けているので良しとしている。
***
「小森さん、ちょっといいですか?」
「ん?何だ?」
「今度のパ・リーグの記事なんですけど、ちょっとトラブルで」
「あぁ、あれか。わかった。すぐに行こう」
後輩と一緒に、記事の内容について相談しながら廊下を歩く。
「小森さんって、結婚願望あります?」
「え?ないけど」
「でしょうね。彼女いるように見えませんもん」
「余計なお世話だよ」
「いやいや、僕なんてこの間フラれちゃいましたから」
「それは残念だったな」
「ですです」
「女なんて、仕事終わりに一杯付き合ってやればイチコロだろう」
「そう思ってました。でも違いました。女の人って怖いですね」
「ふーん、そうなのか」
***
「小森、この前の件だけど」
「あぁ、アレか。ちょっと待ってくれ」
上司の川野さんに言われ、パソコンの画面を見る。
「ん?なんだこれ」
「どうした?」
「いや、なんか変なのが出てきまして」
「どれ見せてくれ」
「はい」
川野さんは俺の隣に座って、マウスを操作した。
画面に映った文字を見て、固まる。
「おい、コレって」
「えぇ、あの、その・・・」
「小森、お前、浮気したのか?」
「そんなわけないじゃないですか!!」
「じゃあなんでこんなものが・・・」
「知りませんよ!!俺だって困ってるんですから」
~完~
特別読み切り もしもシリーズ(IF)
もしも、小森三郎が発達

小俣恵美:政治新聞記者。小森の幼馴染。天然。
山崎亜実:テニスプレイヤー。
藤井ベス:カメラマン。クール。
新妻優香:料理研究家。小森の幼馴染。奥手。
小森三郎:スポーツ新聞記者。主人公。発達障害と診断され、潰瘍性大腸炎と診断され、リハビリや就労支援の力を借りて何とか就職して、障害年金や遺族年金のおかげでやっと暮らせている。イケメン。

[ジャンル:ハーレムもの]

詳細パラメータ
ランダム度 0.75
トップP 1
テイルフリー 0.9375
繰り返しペナルティ 1.1875
出力の長さ 約50文字
タイピカルP -
繰り返しペナルティ(検索範囲) 1024
繰り返しペナルティ(傾斜) 1.85
AIが読み取るコンテキストの長さ 約2560文字
キャラクターブックの優先度 本文の後ろ
脚注の優先度 3
キャラクターブックをスキャンする文字数 1024
セリフの量 100%
括弧書きの量 100%
3点リードの量 100%
改行の量 100%
読点の量 100%
ロングタームメモリ なし
トップA -
GUIモード / チャット設定
GUIモード ノベルモード
自動改行 改行する
自動括弧 括弧で囲まない
改行/送信キー設定 Enterで改行、Shift+Enterで送信
改行/送信キー入替 入れ替える